平和を守ることについて、真剣に考えた3月議会でした

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 27日、28日の最終本会議をもって、長かった3月議会が終わりました。

 今議会には、議案としては、国民保護対策本部及び緊急対処事態対策本部条例案と「住民の安全を脅かす国民保護計画づくりの中止を求める陳情」の陳情、そして、総務文教委員会には、国立市国民保護計画案の原案が報告されました。

 私は議案に反対、陳情に賛成の立場で、質疑討論を行いました。

 国立市は、これまで、国民保護計画を作ってきませんでしたが、佐藤市政になって「法を守る」の立場から策定が進められてきました。
 今回できあがった国立市国民保護計画案は全国のひな形をモデルに作られていますので、大方、どこの自治体も同じような計画が作られたものと考えられます。

 その中では、国立市は緊急事態で侵害された個人の権利に対する回復の申し立てができるなど、住民の権利侵害は最小限にとどめる旨の方針や、外国籍の住民や高齢者、しょうがいしゃに配慮をするなどが少しだけ入ってはいます。

 しかし、弾道ミサイル攻撃や核攻撃、生物兵器による攻撃などを想定した本計画を読みながら、私は心の底からこんな計画をなぜ地方自治体が作らされなければならないのか、怒りがふつふつと込みあげてきました。

 「この計画づくりには、市長はじめ国立市の職員が関わったと思うが、この計画を作りながら、どういった感覚を持ったのか。リアル感はあったのか。私はこの計画案に書かれた事態を想像したら、こうなったらおしまいだとしか思えなかった。この計画案に書かれた事態が万が一起きたとき、市長は住民のいのちがどれほど失われるのか。そういうことは考えなかったのか。こんな計画を作らされることに対して、国に対して怒りは感じなかったのか」と、質問しました。

 佐藤市長は「これはあくまで、緊急事態における行動規範のようなものだと思う。こういう事態に陥らないようにすることが必要だと思った。そうならないようにするためには外交とか、マスコミ報道の在り方が非常に重要になってくると思う」と答えました。

 私の質問の後、重松議員が「先ほど、上村議員が言った『こうなったらおしまいだ』という同じ言葉を過去の戦争の直前に書いた新聞記者がいた。その人はクビになった。今、同じようなことが起きているのではないか」という旨の発言をしました。

 私は改めて、第二次世界大戦後に生まれた日本国憲法の第9条の戦争放棄と第92条の地方自治の本旨は、このときのために用意された最高規範ではないかと強く思いました。
 過去の戦争は中央集権の中で強行された反省を踏まえ、国の執行機関である内閣と同等の立場で地方自治を規定したことは、権力を分散させて、いざというときには地方自治体が力を合わせて政府の暴走を止めて住民を保護せよという、すべての犠牲者の魂からの教訓が込められていると感じました。

 新潟県加茂市の小池晴彦市長は、元自衛隊の重鎮です。戦争というものをよく知っている立場から「こうなったらおしまいだ」をある意味、誰よりもわかっている人ではないかと私は思っていますが、小池市長は「国民保護計画を制定せよという動きがあるが、住民を巻き込んだ沖縄戦と同様の結果がいざというときには想定できるので、加茂市はそのような場合には、ジュネーブ条約にある無防備地域宣言をし、10万本の赤十字の旗(ちなみに加茂市の人口は約3万人、つまり人口の3倍)立ち並べる。それが住民保護の最善策である」と述べています。
 これこそリアル感を持った地方自治の本旨ではないかと意見しました。

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 今回、自民党、公明党等から出された国内向けの「北朝鮮の核実験に抗議し、世界の恒久平和を求める決議(案)」と、緑の党、共産党、生活者ネット等から出された朝鮮民主主義人民共和国に向けての「朝鮮民主主義人民共和国の核実験に抗議する決議案」の2本の議員提出議案が出されました。

 私は、前者に反対、後者は退席しました。
 まず前者に反対した理由は、文章中に「昨年12月の長距離ミサイルの発射」という文言がありましたが、これはマスメディアでしきりに日本政府発表の「人工衛星と称するミサイル」という報道からきています。人工衛星か、ミサイルか、その真相は本当に検証されたのか。また、ミサイルの実験は共和国のみならず、それ以外の国でもなされているのではないか。大量破壊兵器があるという想定で始まったイラク戦争では、多くの尊いいのちが失われ、後の検証でその大量破壊兵器がなかったことがわかりました。
 取り返しのつかない悲劇ではなかったでしょうか。

 このような日本の状況の中で、国内においては「在日韓国・朝鮮人を殺せ」といったヘイトスピーチが堂々と掲げられたデモがまかり通っています。
さらに、国と国の問題には巻き込んではいけない朝鮮学校の子どもたちは高校無償化の適用から外され、わずかに残っていた自治体からの補助金も打ち切られています。こういったことは、決してあってはならないと意見し、反対しました。

 後者については、これは今までどの国における核実験についても、やってきた決議文であり、内容も含めて、正しいとは思いましたが、ここで、今、朝鮮半島は、北と南が一触即発の状況にあると考えると、朝鮮半島の平和に対しては、日本は口をはさまないほうがいい、静観するに限ると意見して、この決議には加わらないと、退席しました。

 以上の2つの議員提出議案に対する私の判断は、私の回りにいる多くの在日コリアンの友人たちや、その子どもたちの安らかな日常を願うところと日本と朝鮮半島や、中国などのアジアとの友好関係は過去の歴史の反省を忘れては成り立たないという思いからです。

 今回の議会を通して、今、本当に平和を守れるかどうかの正念場に来ていると思いました。

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 非婚のひとり親世帯にも寡婦(寡夫)控除の適用を求める決議が採択されました!

 これは、今議会に郵送で送られてきた「婚姻歴のない母子家庭の母についても税法上の『寡婦』とみなし、控除を適用し、窮状を救うため、手を打つように求める陳情」の陳情を取り上げ、議員の仲間と議員提出議案として提出し、11対10で可決されました。
 これを春からみなし適用されるよう頑張りたいと思います。