―1― 福島菊次郎さんとの交流会に出席しました

 府中の友人が企画した福島菊次郎さんとの交流会に参加しました。
 福島菊次郎さんは、広島、長崎の原爆被害者や自衛隊などを撮り続けたフォトジャーナリストです。93歳になられたそうで、福島菊次郎さんを追ったドキュメンタリー映画『ニッポンの嘘』の上映会に招かれて東京に来られたついでに、この交流会も開かれました。

 少人数の交流会は、参加者が福島さんに聞きたいことを聞くという形で進められました。その中で、印象に残った福島さんの言葉を挙げたいと思います。

  • 戦後の日本で、きちんと解決した問題は1つもない。
  • ドイツは贖罪の意識で戦後、変わった。そのドイツは福島の原発事故を知って、30年後には原発をやめると宣言したのに、日本はいまだに変わらない。
  • 日本は、戦争の総括をしないで、日本が起こした原罪を抱えたまま、かっこいい民主主義に変わっていった。いまだに天皇制が残っている。
  • ここ10年くらいで戦争の準備が整ってきていると思う。戦争は国会で可決して、天皇が判を押して始まる。つまり、天皇が判を押さなければいいわけだが、宮内省には莫大なお金がかかっているわけだから、判を押さないとは言えないだろう。
  • また戦争で殺されることがあれば私たちの責任です。こうなったのは自業自得だと認識してほしい。主権者としてやるべきことをやってこなかったということになる。
  • 本当のことを知りたければ、誰かのせいにしないで図書館通いを始めてほしい。図書館には過去の記録がちゃんと残っている。それらをよく読んで、自分の立場で何ができるかよく考えて、1つのものを深く追求していってほしい。
  • 観念だけの運動では何千人、何万人集まってもだめだ。
  • カメラマンとは、最前線に立って問題の証拠の写真を撮ることにある。カメラマンはいろいろいるが、カメラマンとして当然やるべきことをやっていないカメラマンが多い。
  • 自分は写真を撮ってきたが、写真は人の思っていることは写らないので、映像を補完するものを書くということもやってきた。

 などなど、戦争を経験したからこそ、だまされない、うそを見抜く人間であり続けたい、その信念で最前線で写真を撮り続けた福島菊次郎さんの揺るぎない信念がひしひしと伝わりました。「こんな年をとって走ることもできなくなったボクがなんで担ぎ出されなければいけないのかな」と何度もおっしゃっていました。

 福島菊次郎さんの話しや本には近年『遺言』という言葉がよく出ています。平和を守るために、権力のうそを見抜く真の力がほしいと願うからこそ、今、福島さんの生き方を、話しを聞きたいのだと思いました。