ソーシャル・インクルージョンのまちづくり問題について 一般質問 ―2―

 ソーシャル・インクルージョンとは「誰も排除しないで、ともに支えあう社会」という意味ですが、現代のEU(外国人労働者が多くなり、失業者が増えるという状況)の中で、この考え方がなければ国が滅びてしまうという視点で生まれました。

 日本においても、複雑、多様化する貧困層の増大や超高齢化社会に向かって起きてくるさまざまな困難な状況を希望に満ちた解決へと導く有効な考え方だと私は思っています。

 国立市は文教都市であり、福祉都市であり、田園都市であり、個人商店も多いコンパクトなまちです。国立は、住まいや仕事、環境までも含めて、地域でつくり上げていくというソーシャル・インクルージョンの考え方は合っていると私は思っています。

 その視点で、3点質問しました。

 1点目は「しょうがいしゃがあたりまえに暮らすまち宣言」の条例化について、その主旨を生かして国立版しょうがいしゃへの差別禁止条例をつくってはどうか。

→→ 今後、当事者団体の方と相談しながら、確実に制定していく。その際は宣言の制定プロセス(誰でも参加可能な検討委員会を立ち上げたこと)も参考にしたい。

 しょうがいしゃの皆さんから、ぜひ佐藤市長、永見副市長の今期でつくってもらいたいという希望が寄せられているが、どうか。

→→ 今期のうちに必ず着手してつくっていきたいとの市長の決意が得られました。

 2点目は貧困、失業、依存症、ひきこもりだけではなく、いわゆる「おとなの発達しょうがい」など複合する困難な状況を抱えた人たちに対するパーソナル・サポート制度を導入してはどうか。

→→ この間、高齢者支援課、しょうがいしゃ支援課、福祉総務課(生活保護)で、隙間のない相談ができる「総合相談窓口」の設置に向けて、埼玉県富士宮市や神奈川県平塚市に職員で視察に行き、今年度末で国立らしい総合相談窓口の在り方について意見をまとめ、具体化に向けて動いていきたいと考えているので、パーソナル・サポート制度はその次の課題と認識している。
 当然、行政だけでは、カバーしきれない問題が予想されるので、社会福祉協議会や、NPOや市民団体とも協力しながら、検討していきたい。

私の意見
 埼玉県富士宮市には、なんと15名の職員さんたちが視察に行ったということです。本気でつくらなければいけないという熱意が感じられます。先駆的な事例で有名な埼玉県行田市は視察ラッシュで行けなかったということですが、行田市の地域総合相談支援体制については「市民からの相談を断らない」を合言葉に、それまで縦割りだった市役所の職員の考え方を改め、市役所内部が協力すればどんな問題も解決できるという意識改革を行っています。

 国立市にもぜひそのような総合相談窓口をつくってもらいたいと意見し、さらにパーソナル・サポートについては、パーソナル・サポートのイメージとして家族や相談できる人が誰もいない人に、これまで良質なハローワークの職員やケースワーカー、市民団体などが個人的に手弁当でやっていた相談・支援を職域化してサポートするものと言われています。伴走型支援とも言われ、個別的に継続的に、安定的にサポートすることができる制度です。

 国立市は、総合相談窓口の次の段階と必要性は認めながらも先に延ばしていますが、現実には同時並行して考えなければいけない、総合相談窓口だけではセーフティ・ネットはつくれないと考えます。
 引き続き提案していきたいと思います。