はじまりは《青天の霹靂》

初めて立候補することになったのは、1999年4月の選挙だった。
8期32年間、革新無所属の議員として活躍された井上スズさんが引退されることになり、後継者探しが始まった。
選挙まであと4か月というギリギリのタイミングで、白羽の矢が。
当時スズさんは77歳、私は43歳だった。
立候補など夢にも思っていなかった私にとって、まさに青天の霹靂!
自転車でまちを回りながら考えた。
それまで何年もPTAをやってきた。子どもの権利条約を考える小委員会も立ち上げ、しょうがいのある子どもたちの学校五日制の活動をになうボランティア活動も始めた。滝乃川学園で働き、公民館の女性問題学習にもどうにか通っている。
子どもは中学生と高校生になり、PTA活動とは何かわかってきたように思う。
日光移動教室に財政難を理由に医師の派遣をやめたのは許せない、思想信条の自由を憲法は保障しているのに学校で日の丸・君が代の強制をするのはおかしい、福祉施設の敷地を削って大きな道路をつくるのもおかしい、しょうがいのあるこどもたちと共に学ぶ教育保障がないことはおかしい等々、私にはPTA活動を越えて、まちの人に問うてみたいことがたくさんあることに気がついた。
スズさんは、私たちの声を代弁してくれる議員だった。そんな議員がいなくなったら困る。
私は、選挙を通じて自分たちの意見が少数ではないことを証明したいと思った。突然降ってわいたような話だが、見えている未来より見えない未来のほうが楽しいのではないか。当時流行っていたインディージョーンズの映画の1場面…断崖絶壁に1歩勇気を出して踏み出すと橋ができる…そんなビジョンが見えてきた。
そして、私は立候補することに決めた。

議員活動スタート

初めての選挙では、スズさんとその支援者のみなさん、そしてPTAや地域の子育て仲間たちが一生懸命応援してくれた。
スズさんに倣って、私は家の中にいる人にも届くように辻々で話し続けた。
平日の昼間、そこにはどんな人たちがいるのだろう。
私にはなぜか、ひきこもっている若者や子育てに悩む母親、お年寄りや病気で不安を抱える人が、息をひそめて耳を傾けてくれているような気がしてならなかった。私自身も慣れない土地で子育てに悩み、すべての自信をなくした時期があったのだ。
私は話しながら、よく泣いた。涙が出て仕方がなかった。
話し続けていくことで、自分の考えを掘り下げることができた。
選挙自体が思想の修行となり、私を鍛えてくれた。
……そして、結果はトップ当選となった。

人権活動の最前線に立ち続けるために

以来今日まで約24年にわたって、私は議員として社会的に弱い立場の側からの発言と活動を続けてきた。
当初からの私の主張は、今になって思うと、まさしく「人権が保障されるまちづくり」である。
いのちが大事。
いのちに重い軽いはない。
みんな違って、みんないい。
違いが差別につながってはいけない。
国の政治家のやることを、厳しく制することのできる地域をつくる。
戦争という過ちを二度と繰り返させないように、日常の暮らしを守ることで本物の平和を実現していく。
ひとりの無所属の議員として、そういう市民の声を表明し続けていく。
「ひとりからはじめる」「ひとりでもあきらめない」
私は、そんな議員であり続けたいと思っている。

略歴

1955年 長崎県長崎市生まれ
1978年 長崎大学教育学部卒業
1978年~82年 長崎県立壱岐商業高等学校教諭となる。
長崎県立諫早高等学校高木分校
1985年~ 国立市に居住。夫・子ども2人
1998年
~99年4月
滝乃川学園非常勤職員として週一回勤務。「障害児」とともに学ぶ
1999年5月~2003年4月 国立市議会市議(第一期)一人会派「こぶしの木」
・福祉保険委員会に所属
・国立市情報公開及び個人情報保護審議会委員
2003年5月~2007年4月 国立市議会市議(第二期)一人会派「こぶしの木」
・福祉保険委員会所属
・国立駅周辺まちづくり特別委員会委員
・土地開発公社評議員
2007年5月~2011年4月 国立市議会市議(第三期)一人会派「こぶしの木」
・福祉保険委員会所属
・国保運営協議会委員(2009年4月まで)
・民生委員推薦会委員(2009年5月から)
2011年5月~2015年4月
前回選挙のとき

国立市議会市議(第四期)一人会派「こぶしの木」
・福祉保険委員会所属
・福祉保険委員会委員長(2011~13年)
・保健センター運営審議会委員長(2013~15年)

2015年5月〜2019年4月
5期20年をふりかえる会

国立市議会市議(第五期)一人会派「こぶしの木」
・福祉保険委員会
・議会改革特別委員会副委員長(2017年12月〜18年12月)

2019年5月~2023年4月 国立市議会市議(第六期)一人会派「こぶしの木」
2023年5月~ 国立市議会市議(第七期)一人会派「こぶしの木」

PTA活動

1994年 三小PTA会長
1995年 三小PTA「子どもの権利条約を学習する小委員会」委員長
1999年 国立高校PTA文化副委員長
2001年 一中P連委員

地域活動

1996年~ 「くにたち五日制の会」のボランティア活動にかかわる
1997年4月
~98年3月
滝乃川学園評議員
現在 ・くにたち夢ファーム Jikka
・ハムケ、共に
・くにたち市しょうがいしゃ団体協議会
・人権・平和市民アクション
・くにたち公民館を守る会
・ヘイトスピーチを許さないくにたち市民の会