社会教育全国集会に参加しました

 3日、4日にかけて、千葉で開かれた社会教育全国集会に初めて参加しました。

 千葉大学を使い、全国の図書館や公民館の職員、市民が700名近く集まった大変大きな研究会でした。
 私は、18ある分科会の中で「ほんとうの図書館をめざして、一人ひとりのくらしに寄り添う図書館 ~いまこそ、問い直そう! だれのため、なんのための図書館かを~」に参加しました。
●ツタヤに民営化された図書館
 佐賀県武雄市のツタヤに民営化された図書館についての住民からの報告がありました。
 国立市議会の総務文教委員会は、以前、この図書館を視察し、話題の樋渡市長とも懇談しました。「催眠術」にでもかかったように、多くの議員がツタヤに委託された図書館のすばらしさを一般質問等で取り上げました。
 それを聞きながら「そんないいことばかりじゃないんじゃない。何かあやしくない?」と野次ったりしましたが、何がどうおかしいのか、自分でも明確にはわかりませんでした。
 今回の住民の方の報告で、従前の公営のときの図書館と、ツタヤに委託された図書館との違いを写真入りで説明されて、何がおかしかったのか、初めてはっきりわかりました。
●大切な図書館がこんなになってしまった!!
 例えば、従前は、子どもへの読み聞かせのためにつくられた祠のような部屋(子どもが集中して静かに聞けるような環境)や、授乳室、子ども用トイレがあったが、そこを全部潰して、スターバックスのカフェにされたこと、今まで4つあったトイレが1つになったこと、1階の一番いいフロアがツタヤの書店と化したこと、それまであった蔵書が2階の細長い通路にうず高く置かれて脚立で取らないといけないようなところに置かれてしまったことなどなど。

 ここは、もともとが歴史や自然を保全する地域の中につくられたすてきな図書館でした。だから、ツタヤに委託された後、全国から注目され、多くの視察者が訪れました。その第一印象の良さは、もともとの景観と建物の良さです。つまり、最初から子どもや高齢者、しょうがいしゃなどにとても配慮された教育的な環境であったということです。
 報告の中で「以前はむくの木で立派な書架がつくられていたのに、それが全部取り外され、ツタヤが使っているスチール棚に変わった。あの木の書架はどこに行ったのか、今はわからない」という発言があり、心が痛みました。
 安く上がったというが、ツタヤに委託するための準備として数億のお金がかかっています。それに「365日オープン」を売りにしているので、本の整理をする貴重な時間が取れない、これは図書館として大きなマイナスです。
 読み聞かせの部屋が壊されるとき、立ち会った司書の方が泣いていたそうです。読み聞かせの場所は今も日当たりのいい1区画が仕切られてあるが、図書館の専門家が視察に来て「改善するとするならば、もう少し子どもが集中できる静かな環境をつくるといいですね」と言ったそうです。まさしく従前がそうであったということです。
 樋渡市長はブログで有名な市長だそうですが、何でも市長のものの見方でブログに書かれるので、市長の政策に批判的な声を上げることが困難になっているとのことです。
 私は、上記のような住民の方の報告を聞かせてもらい、物事は一面からではなく、いろいろな面から見なければわからないと思いました。国立市でも、図書館の民営化については財政改革の検討事項として上がってきているので、武雄市の例を挙げながら、民間委託の問題をきちんと指摘していきたいと思います。